目的
本会は、口腔および全身的評価による口腔栄養医学の研究の推進、知識の交流を通じて、口腔疾患に対する検査・診断・治療・予防の進歩普及に貢献し、口腔のみならず全身の健康に寄与することを目的とする。
口腔栄養医学とは
口腔疾患の治療・予防を目的とし、口腔および全身的評価をもとに栄養を用いて体の基本である細胞から口腔内環境を整えることで、従来の歯科治療では解決できなった根本治療を目指す医学である。
すなわち栄養により細胞の働きを向上させることで口腔および全身の健康に寄与するものである。
口腔栄養医学の治療方針
① 口腔疾患の治療および予防により、口腔領域の健康の維持増進に努める。
② 口腔疾患の治療および予防により、関連する全身疾患の予防、全身の健康の維持増進に寄与する。
③ 全身疾患の治療を目的とするものではない。
ご挨拶

坂田 佳奈
SAKATA KANA
歯科治療といえば、主に体の外側(歯や粘膜など)へのアプローチが一般的です。虫歯を削ってものをつめる。入れ歯をつくる。インプラントをいれる。すべて症状に応じて体の外側へ対処をします。
しかし、健康な歯周組織の細胞をつくる根本は私たちが摂取する栄養素であり、その栄養素を有効に活用するために重要なのは良好な体内環境です。私たちの体内環境は、内分泌系・自律神経系・免疫系などさまざまな働きが重なり合いバランスを保っています。この体内環境が乱れることで、全身疾患のみならず、さまざまな口腔症状を呈します。成人の約80%が患っているといわれる歯周病もそのひとつです。
日本口腔栄養医学会 理事長
ノア歯科クリニック中目黒
口腔栄養医学は体の内側(細胞)へのアプローチにより、口腔疾患の根本原因を探り、本来の自然治癒力・免疫力を高め、体の中から健康に導こうとする学問です。
従来の病気になったら削る抜くの対症療法では、表面的な治療を行ったとしても根本原因が改善されない限りまた疾病は繰り返されます。この悪循環を断ち切るために口腔栄養医学は重要な役割を果たすと考えております。
また、すべて体の中に摂取されるものは必ず口腔を通って胃・腸・肝・腎・肺、そして血液によって体中に運ばれます。つまり、体内環境を良好に保つためには、まず第一に口腔内環境が良好でないとはじまらないのです。口腔内環境を良好に保つことは、体内環境を整え、口腔の健康のみならず全身の健康につながります。
さらに口腔栄養医学のアプローチ方法は一般的な歯科治療と併行して行うことで、早期治癒を促し、治療の成功率を高めます。体の内側(細胞)と外側(歯や粘膜)の両方へアプローチすることで治療効果・予防効果も大幅に高まります。
口腔栄養医学の可能性は無限大であり、これからの予防を中心とした医療では必ず必要となる学問であると考えております。口腔栄養医学の発展と普及により、人々の健康と生活の質の向上、そして豊かな人生へと導く手助けとなれれば幸いです。
日本口腔栄養医学会
理事長 坂田佳奈